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ちいさな箱庭

海に小瓶

キミが読む物語 感想

舞台感想

「実際に、見てないものを勝手に想像して、決めつけてしまうのは、とても恐ろしい。」

 

 前回の記事から数日後、影山くんの舞台出演が告知されて今までの気分の沈みが嘘のように元気になりました。超単純!

ナイスコンプレックスN27『キスより素敵な手を繋ごう』ご出演決定おめでとうございます!

ナイスコンプレックスさんの客演は2回目になります。演出のキムラ真さんとは『のぶニャがの野望』含めて3回目ですね。キムラさんは極上文學の演出をされてる方です。

前回観劇したN24『キミが読む物語』とても胸に突き刺さるような、ふとした時に思い出す作品でした。今回も楽しみです。滝川英治さん主演!

あらすじを見た限りではまた胸にぐっときそうな作品なので、心の準備をして観劇したいです。きっと素敵な愛を見せてくれるんだろうな。

ところで途中からサイトの影山くんの宣材写真変わってふふってなりました(笑)新しいのに変えてくれてありがとうございます。

ちなみに『キスより素敵な手を繋ごう』も『キミが読む物語』も再演です。

naikon.jp

 

と、いうわけで今回は2016年2月公演ナイスコンプレックスN24『キミが読む物語』の感想をまとめてみたいと思います。

冒頭の台詞は作中から引用したものです。今でも頭を過る言葉です。

 

 

 

 

『キミが読む物語』、キャストパターンでも3種ありました。

ユウ:「キミが読む物語」の読者

川隅美慎(2/24、2/25出演)

桑野晃輔(2/29 16時公演出演)

 

山内幸子:癌を宣告された妊婦。余命僅かと知り、娘へ本を残すと決める。

阿澄佳奈(2/24、2/25、2/29 16時公演以外の出演)

 

劇団員である早野さん、神田さん、紅林さんがそれぞれ幸子、ユウ、医者、秀雄の母を配役変えて演じてらっしゃってました。

全然印象変わります。どのパターンも観ましたが、ユウも三者三様でしたし、特に医者は神田さんと紅林さんの演じ方が全然違ったので面白かったです。神田さんのお医者さんは情に熱いタイプで、紅林さんのお医者さんはクールでベストを尽くすタイプでした。

DVDに収録されてるのは阿澄さん出演回です。

 

で、「ユウ」という存在が重要なんです。

ユウはYOUであり、『キミが読む物語』のキミとはあなた、つまり私たちのことです。

客席にいながらユウを通じて物語の中に引き込まれていく。そんな演出の舞台でした。

本の話というと共感しはしてもどこか遠くの話というか、現実味がない感じがしますよね。でもこの舞台は一読者で線引きする自分たちを許してはくれない。突然自分に問いかけてくる。

私はいわゆる感動ストーリーというか、実話を美談にして作られた作品というのが苦手です。作られたお話でも「泣ける」というキャッチコピーがあると途端に興味がなくなってしまう。泣いたり感動したりするために作られたお話がどうしても引っかかってしまう。

だからこそ「キミが読む物語」を初めて観劇した時、その美談にまとめられてしまった裏側とその後を見せられたようでした。そこに命があって、生死があったら、綺麗事だけなわけがないんですよね。

癌を宣告された妊婦が、娘に残した「みずはへ」という本と、その本を読んだひとのために書かれた「キミが読む物語」という本が重なって綴られるお話でした。

 

この作品でユウが頁を捲るお話には、三人の主人公がいるようでした。

「キミが読む物語」の著者で、「みずはへ」の編集を行った佐藤秀雄。

癌を宣告されて、「みずはへ」という本を残すと決めた山内幸子。

「みずはへ」の影響から貼られた「いい子」のレッテルに苦しむ山内水葉。

この三人を中心として、過去も現在も織り交ざって話が展開されていく舞台です。

 

なんだか話のことばっかりになってしまいました。でもメディアが展開されている今だからこそ、たくさんのひとに観てほしい舞台だったなあ。かなりメッセージ性が強いというか、入り込んでくる感じ。きっとみんなどこかしら引っかかるような。

二時間半くらいの舞台だったんですが、時間が長いとは感じさせずいい意味でしんどさが残る舞台でした。疲労感はないんだけど胸がしんどかった(笑)泣いたのもありますけど。でも舞台は終わっても自分の物語は続いてますから。心に残る舞台だと思います。

 

 始まりが音もなく気づいたら始まってる演出が、私は自分の現実の延長線上にある印象を受けました。はい舞台です!って始まりではない。人が少しずつ増えて雑踏になっていく。

舞台のセットもすごくシンプルだった。病院のベッドと机と居酒屋のテーブルくらい?あとバイトの時の椅子か。開かれた本のカーテンが捲られていくのが、本当にページを捲ってるみたいだった。

演出にも顔を隠したキャストが携わってたりして、ここまで人力の舞台初めてでした。観劇歴が短いため恥ずかしながらこれが演劇か…って思った。

シンプルだからこそ役者の芝居で引き込まれていく舞台。役一人ひとりにキャラクター性というより、人間性を感じました。秀雄の少年時代を演じた楓くんもいい意味で作られてなくて、子供らしくて素敵だった。

舞台の感想書いてるとキリがなくなりそうなので三人に絞って感想書いてみました。

 

末原拓馬さんは役が降りてくるタイプだなあと、本当にお芝居に圧倒されました。

すごく細身でライター役が似合ってたのですが、このために減量されたとかなんとか。その後の艶漢ではムキムキになってたのでどうなってるんだこの人って思いました。本当に人間かな。

末原さん演じる佐藤秀雄は幼い頃に父親を亡くしていて、自分が働かせすぎたという罪悪感と「ママと妹を守るんだぞ」という父親の言葉に囚われています。ライターになってからもある事があって野心はなくエロコラムなどを書いて生活してる。

秀雄はふと思い出に浸るようなシーンがたくさん出てきます。何かをきっかけに、父といた幼少を思い出している。その思い出から目を逸らしていたのが、進んでいくごとに向き合うようになって、自分の感情を吐露して、ついには胸の奥底にあった思いをむき出しにする。のが、本当にすごい。

冷めた目をしていた大人が、だんだんと幼く少年の表情になっていきました。

へらへらと笑ってたのが、泣いたり怒ったり感情を出していって。父との思い出から向き合って、吹っ切れてから本を書く秀雄は人間として輝いていたように見えました。死んでるみたいだったのが、生きていた。

最後の優しい口調も好きでした。こうやってこちらに語りかけてるんだなって。

 

あと、水葉役の田上真里奈ちゃん。個人的に顔が好み。かわいい。カテコではお茶目な印象です。

影山くん演じる山本和志との絡みも多かったですね。

かわいい顔してけっこうバッサリ言う水葉。作り笑いが本当に作り笑いでした。感情が一切ない笑い方ってこんななんだなあ。

笑ってからふっと真顔になったり、メリハリがすごい。序盤は冷たいという印象。

水葉は「みずはへ」という本が売れてその知名度から、この親の娘なんだからこんな子なんだろうって先入観を持たれて誰も自分自身を見てくれないと悩んで、あきらめてる子でした。でもこの子も吹っ切れてからは強かった(笑)

大久保さん演じるまりもが真っ直ぐぶつかってくる感じが素晴らしかった。あんな友達ほしい。ちょっとおかしいけど(笑)

「お母さんに会いたい」とぼろぼろ涙流しながら叫ぶ姿に何度も泣きました。どこかのどに突っかかって出たけど、しっかりと言葉になってこれがずっと沈めてた思いだって感じました。自分が知らない母のことを、水葉は他人から聞くのではなく自分自身で知りたかったんですね。その後の笑顔は本物でした…。

で、田上ちゃんも艶漢出てたので末原さんとこの二人目当てで艶漢観劇に行ったっていう余談。六口美しかった。その前の六口扮する編集の十二目さんもかわいかった。

 

そして影山達也くんについて。

影山くんが演じた山本和志という役は、母親が犯罪を犯して「犯罪者の息子」というレッテルに苦しむ子でした。なので水葉とはベクトルは違えど苦しみは似ていた。

今まで見た中でも闇が深い役ですね。時折瞳から光を失ってました。

人との距離感とか壁の作り方とか
どんどん悲観的になるとことか
デフォルメした部分もあるんですが
割りと影山達也に近い部分でお芝居させてもらいました!

キミが読む物語、千秋楽☆|影山達也のブログ Load Of shadow

最初影山くんがブログで「山本和志と自分は似ている」的なことを言っていたので初日観劇した時「えっどういう意味で…」と戸惑いました(笑)和志はバイト仲間と一緒にいてもどこか距離を置いてる感じでした。

演出で水葉は白いレースやらなにやらのマント?(うまい表現が見つからない)を被せられてそこから伸びる赤い紐を他人に引っ張られて、動きが取れなくなるシーンがあるんですが、和志は黒でその対比がよかった。

和志は人に話しかけても顔を背けられたり、突き飛ばされたりして赤い紐に捕らわれてもがき苦しむんですけど、水葉は周囲の励ます言葉に苦しんでいました。

この時の影山くんの苦しむ芝居が最高に好きです。呻き声痛々しい。

「水葉はいいよね。大事にされて。僕なんか…」の卑屈っぷりも好きですね。なんだろう、影山くんほんと陰ある役素敵なんですよね。この他にも陰ある役演じてますが、和志は悲観と卑屈が強い気がします。自分を押し殺して傷だらけなのを隠してる。

濡れ衣を着せられてバイトをやめるのを、友人に引き留められる手をどけて振り向く表情が悲しそうで好きです。一度は振り払うのに、それでも引き留めようとする友人に心が揺れてたようで。

水葉と二人で座って言葉少なに淡々とやり取りするシーンも好きでした。自分を悲観していた和志としての気持ちが徐々に露わになってく。犯罪者と言われる母への思いも。

「お母さんは悪いひと?」という二度目の問いかけに、すぐさま「違う!」と声を荒げる和志はどんなに周りに言われてもたったひとりの母親を大事に思う気持ちは変わらなかったんだなと感じさせてくれました。

こんなこと言ったあとでなんですがバイト中のエプロン着用姿かっこよかったです。影山くんは白シャツが似合う。ブログに写真あります。

 

そういえば、水葉が交差点のど真ん中で思いをぶちまけるっていうシーンが最後のほうにあるんですけど。

その時水葉以外に和志、まりも、まりもの彼氏の雄哉(萩原悠くん)がいて、水葉が叫び出したのに続いてそれぞれ三人も叫び出すんですが、これが台本に台詞がないんですよ。

物販で台本があったので買ってみて観劇をしてから読んでまた観劇したんですが、「※キャストの思いで叫ぶ」って書いてある。

言うことはだいたいキャストの中でかたまってたと思うのですが、聖徳太子じゃないので全員聞き取れなかったです。しかも日によって長さが違いました。

影山くんなんか初日と楽で比べると言ってることがだいぶ長くなってました。悔しいのはその長くなった思いを全部聞き取れなかったことですね。すごく集中してたのに聞き取れなかったとか自分の耳を呪うしかなかった。悔しい。

水葉の和志への問いかけに「あなたは一人。」「あなたは独り?」っていう台詞のニュアンスの違いを頭に置きながら観劇するのも楽しかったです。台本っていいなあ。あったら買いたい。

 

何度見ても胸を打ってくるというか、自分の心に刺さってくる舞台でした。影山くんのお芝居として2016年一番好きな舞台です。

この記事を書くにあたってDVDを見直したのですが、また気づいたら涙流れててびっくりした。最初に観劇した時も気づいたら泣いてたなあ。

この舞台ってのぶニャがの公演が二週間前くらいまであったので、稽古期間は実質二週間なかったんですよね。演出が同じなだけでなく、キャストも4人出演してたので。

でもすごく濃い稽古だったんだろうなあ。影山くんも楽しそうだったので見てて安心してました。

観るとしんどい思いはするのであんまりしょっちゅうは観られないんですが、ちょっと立ち止まった時にまた観たいです。

私は本当にその人のこと見ていて、知ってるんでしょうか。